汚れるよりは死を

Pixiv にて「作者が一度、自分のキャラで読んでみたかった頭の悪いセルフ二次創作小説シリーズ」として発表した小説のうち、3作品目として発表したお話になります。

CPはジルアル(騎士(部下・年下)×騎士(上官・年上)。
心の中のキャッチフレーズは『事故から始まるノンケ二人のメンズラブ』

「本命嫁(女)のいるいい歳こいたスパダリイケメン同士が何かの拍子にBでLな関係に目覚めるのって美味しいよね……!」という作者の歪んだ嗜好が生んだ妄想話です。
(※エッセンス程度にモブ攻め要素もあります。注意)

同じ理想を追ってきた二人が迎える一つの結末。
『還り着く場所』本編がジルジャンルートとしたら、こちらはアルテュールルートの分岐的な雰囲気で楽しんで頂けたら嬉しいです。
BLもイケるよ!という方は、『続きを読む』からどうぞ。

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聖なる魔女のひそやかな愉しみ

作者自らが『還り着く場所』のジルジャン二人による愛の営みを綴るセルフパロディシリーズ、その3です。

今回、アンケート結果を受けて、作者が全力でマニアックな趣味に走った内容になっています。
聖女のおかげで、われらが元帥閣下が割と酷い目にあってます。

女性向けというよりは、殆ど男性向けに近いシチュエーションかもしれない。
このシチュは男性向けでは比較的よく見かけるジャンルなんですが、逆パターンはあまり見かけないんですよねー……美味しいのに。だから書きました。(真顔)

マニアックシリーズについては、あと2本構想があるので、これを読んでも大丈夫だった方は、また気長にお待ち下さい。

◆◆◆

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白百合を抱くハイペリオン(3)

壮麗な聖堂に隣接した僧房の一室。
人目を憚るように、予め整えられたその場所で、男はその時が訪れるのを静かに待っていた。

窓から差し込む光は、長らく暗闇の中で過ごしてきた身にはまだ眩しく、素足を包み込む毛足の長い絨毯の上もどこか居心地の悪さを感じる。
かつては当たり前のように享受してきたものが、今の自分にはあまりにも遠く縁のないものになってしまった事に、男は内心苦笑していた。
それほど、彼が人間らしい扱いを受けるのは、久しぶりの事だった。

髪は一筋残らず白くなってはいたものの、まだごく若い……青年といっていいであろうその男は、いささか線が細過ぎる印象はあったが、湯浴みを済ませ、清潔な衣服に袖を通して佇む姿は、回廊を往来している同年代であろう神学生とは明らかに異なる空気を纏っていた。

隙の無い物腰に漂う気品と風格──そして覚悟。見る者が見れば、女性的な優しい面差しの中に納まる碧い目が、男の出自を如実に語っている事に気が付いただろう。
いかにその横顔が深い知性を感じさせるものであったとしても──彼は伽藍の中で教えを説く者ではない。戦場に生きる騎士であると。

ゆえに、男の前に訪れたその司祭は──男の素性と真の姿を知る者は、敬意をもって彼に応じた。
一礼の後、ここまで大切に運んできたそれを、掲げるようにして目の前に差し出す。

「……これは?」

──半年にも渡る過酷な虜囚生活の末、人として持ち得たあらゆるものを剥ぎ取られ、果ては己が名乗るべき名前すら失った男に渡されたのは、たった一枚の皮羊紙だった。

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